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少女(湊かなえ)
2010年 07月 27日 *


あらすじ:高2の夏休み前、由紀と敦子は転校生の紫織から衝撃的な話を聞く。
      彼女はかつて親友の自殺を目にしたと言うのだ。
      その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ。
       「人が死ぬ瞬間を見たい」
      由紀は病院へボランティアに生き、重病の少年の死を。
      敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。





物語は、ある少女の遺書から始まる。
テーマは「因果応報」。
出てくるのは極普通の今を生きる女子高生たち。
二人の少女が数ページずつ自分の気持ちを語る形でストーリーは進む。

主人公の少女たちが何で「人が死ぬところを見てみたい」のか、唐突過ぎて受け入れ難かった第一章。
が、重いテーマを突き付けつつ、ストーリーは軽いタッチでサクサク進む。


全然楽しくなんかない学校。
だけど一人になりたくない、居ないところで何を言われるか分からない恐怖心。
噂が気になって絶えず不安で不安定な気持ち。
傷つきたくなくて必要以上に取り繕ってしまう心。
信じたいのに信じられない友達。

毎日が綱渡りのような思春期。


読み進むうちに、思春期ってこんなだよなぁ・・・って遥か昔の自分を思い出したりもして。
暗~い灰色の時代、それが思春期。
そーだよなぁ、この時代って学校、友達が世界の全て・・・みたいなとこあるし。
大きな傷も痛いけど、心に刺さった小さなトゲがチクチクチクチク・・・。
意識は常にそこにあって、楽しくなんか全然ない。
だけど、行けば行ったでささやかな笑いなんかもあったりして。
それはそれで楽しかったりもする。

純粋無垢な女子高生なんて、いつの時代も大人の妄想に過ぎないかも・・・。


なーんてな。


実は凄いぞ、今時女子高生。
ケータイ、学校裏サイト、ブランド、イジメ。
欲しいもののためなら嘘痴漢とか平気でしちゃうんだ。
他人の人生が壊れようが陥れようが関係ない。
手に入れたいもののためならヤッちゃってもいいんだ。
例えそれが初めてであったとしても。

少なくともその年代、ワタシの周りにおいてそこまで割り切れる子は居なかったと思う。
まだまだ「処女」であることが大きかったはず。女子高だったせいもあるが。
奥手で、だけど興味だけは溢れるほどあって、体は大人になりつつあるのに心が付いていかなかったあの年代。
そして、私たちの家庭環境はそんなに大差なく、そこそこ中流家庭の子ばかりが集まっていたせいか、そこにあった倫理観も皆同じレベルであったと思われる。
「結婚するまで」とは言わないけど、せめて大学なり社会なりに出てから。
自分で責任を取れるように、荷物を背負えるようになってから。
そんな暗黙のルールがあったような気がする。

夏休みはキラキラなんかしてなくて、延々と続く暑い日が横たわるばかり。
課題と部活と漫画と本と、ただただ惰眠を貪る怠惰な日々。
このまま夏が終わらないんじゃないかと思ったこともある。
人が死ぬとか生きるとか、そんな重いテーマは考えたこともない。


人が死ぬ瞬間を見てみたい。
だから医学部へ行く。それもアリかな。
牧瀬みたいな男の子、ガッついてなくていいと思った。

あ、でもこれは昔もあった進学の動機。
余談ですが、中学時代の同級生は女子のアソコが見たいと言って医学部へ行きました。
多分彼は今頃、探究心旺盛で優秀な婦人科系ドクターになっていることでしょう。



「人が死ぬ瞬間を見てみたい」


単純な動機、興味本位で始まった夏休みのテーマは、衝撃の結末を迎えます。
てか、ここで色々な人の因果が絡まって大団円になるわけだが。
まず、現実にはこんな偶然はあり得ない。
だからここは、湊ワールド。

つまるところ、ジメついた世界に生きながらカラっと乾いた少女たちのお話。
ブラックあり、ユーモアありで面白い。
重い「告白」に比べたら、すんごく軽い。
ミステリというよりは、少女たちのちょっと外れた夏休み体験談。


賛否両論ある作品だけど、人が死ぬ瞬間は見たくないけど、
ワタシは好きです。
あっとゆーまに読んじゃいました。



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by bera-sakuraebi | 2010-07-27 13:38 | *
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The Original by Sun&Moon